日本IBM幹部が、昨年末あたりから「この製品はブレークする」とことあることに言ってきたミドルウェアがあります。それは、昨年5月、カリフォルニア州にあったクラウド専門企業のキャストアイアンシステムズを買収して製品化したアプリケーション連携テンプレート「IBM WebSphere Cast Iron」です。クラウドでも、オンプレミス(企業内)でも、どんなシステムも簡単につないでデータ連携ができるミドルウェアです。夢のようなミドルウェア――こんなふうに表現する日本IBM担当者もいるほどです。
これを使った大型協業が決まりました。トヨタ自動車との異色協業で脚光を浴びているセールスフォース・ドットコム(SFDC)と、営業支援・顧客管理システムのクラウド環境への移行で手を握ったのです。この件の肝は、企業のクラウド移行を促進する専任チームを編成し、日本IBMのビジネスパートナー、日本情報通信(NI+C)が企業での移行作業を担当するということです。
間接的ではありますが、「SFDCのサービスをIBM系列が売る」という構図ができあがりました。SFDCのIaaS上でアプリを開発したり、サービス展開したりするSFDCサイドのITベンダーは、この協業を歓迎しています。いままでのチャネルに加え、IBMのBP経由の販路が広がるからです。表だった報道はあまりされていませんが、これはIT流通の視点からみると、大きな出来事です。(谷畑良胤)
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セールスフォース・ドットコムと日本IBM、ITシステムのクラウド移行で協業メールマガジン「Daily BCN Bizline 2011.7.25」より