今日のひとことWeb版

規制への対応進む日系ベンダーの中国ビジネス

2011/12/08 15:26

 隣国中国にはさまざまな規制があります。とりわけ情報サービス業にとってやっかいなのは、インターネットのアクセス制限ではないでしょうか。Facebook、Twitter、Googleの一部サービスなど、規制の対象となっているサービスは少なくありません。

 だから中国は窒息しそうな閉鎖空間かといえば、もちろんそうではありません。検索の百度、ミニブログの微博など、グローバルサービスに相当するネットサービスが想像以上に充実しています。あの中国新幹線の事故をいち早く報じたのは、中国のミニブログでした。

 これって単なる国内産業育成の参入障壁ではないの、と勘ぐりたくもなりますが、実際、規制によって中国国内のサービスビジネスが育っているのですから、そうみられても、ある意味では仕方がない。かつては日本IBMも日本国内の公共セクターに入れず、苦労したと聞きます。

 しかし、規制があると嘆いてばかりでは仕方がない。日本のITベンダーは、中国地場の有力SIerと組むなどして、中国国内で巨大データセンター(DC)の建設を急ピッチで進めています。日立グループは広州と大連、ITホールディングスグループは天津、NTTデータは無錫といった具合に、整備・拡張を急いでいるのです。

 中国国内にDCをはじめとする設備を置き、地場有力SIerを前面に押し出せば、参入障壁はぐっと低くなる。中国国内向けのクラウド/SaaSなどのネットサービスの提供についても、規制をクリアしやすいはずです。

 規制一つでDC建設という巨額投資を海外から呼び寄せ、海外ベンダーは中国で商売ができるようになる。賛否両論あるでしょうが、規制も時と場合によっては両者勝ちに有効に働く――ということなのかもしれません。(安藤章司)

【記事はこちら】
<日立グループの中国ビジネス>拠点拡大とDC整備を急ピッチで進める 本体の両翼を担う二大SIerの体制へ
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2011.12.8」より
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