「CDN」と聞いて、ピンと来る人はどれくらいでしょうか。コンテンツ・デリバリー・ネットワークの略で、主に映像コンテンツの配信を支援するネットワークサービス。アカマイ・テクノロジーズなどが有名です。
CDNの実力を思い知らされたのは、東日本大震災のときでした。勤務先のオフィスにはテレビがなく、ネットを探ったところ、なんとリアルタイム動画配信サービス「ニコニコ生放送」の非常時対応で、NHKの臨時ニュースを配信していました。
平日の昼間、多くの勤め人がこの映像に殺到したことは容易に想像できますが、遅延するどころか、テレビ顔負けの高精細な“生放送”の映像を目の当たりにして驚きました。実は、これを支えたのがアカマイのCDNでした。CDNは、このように強力な映像配信能力をもっています。
3月27日、中国に進出しているITホールディングスグループのTISが中国最大手のCDN事業者「チャイナ・キャッシュ」との業務提携を発表しました。天津で運営するTISの大型データセンター(DC)とCDNを連携させ、中国国内向けの高度なネットワークサービスの提供を視野に入れたものです。
DCは、良質なネットワークとの連携がなければただの箱。強力なCDN網との連携が実現すれば、震災時に注目を集めた高品質なサービスが中国でも提供できる――。TISの海外DC事業が、また一歩、前進した印象を受けます。(安藤章司)
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TIS、中国最大手のCDN事業者のチャイナ・キャッシュと業務提携へメールマガジン「Daily BCN Bizline 2012.3.29」より