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富士通とNEC、新規事業の創出を加速

2012/05/09 15:26

 日本の大手総合ITベンダー、富士通とNECは、4月末に2011年度(2012年3月)の連結決算を発表しました。両社とも同じ日のほとんど同じ時間帯にプレス向けの発表会を開き、ともに昨年度の業績は減収だったことを報道陣に知らせました。

 富士通は、アメリカを中心に海外事業が伸び悩んだことが減収の主な要因。また、NECはタイの洪水によって打撃を受け、その影響は売上高200億円のマイナスとなって現れました。富士通の山本正已社長とNECの遠藤信博社長は、決算発表の場でこれもともに「新規事業の開拓を柱とする構造改革の速度を上げる」と、2012年度以降の事業の拡大に意気込みを示しました。

 富士通とNECは、昨年からクラウドコンピューティングを基盤とする「ビッグデータ」や「スマートシティ」関連の取り組みを本格化し、クラウド技術を活用している新しいビジネスの創出によって、売り上げを中長期的に伸長させようとしています。NECの遠藤社長は、決算発表で、2012年度に新規事業の強化を目指した戦略投資として200億円を投じることを明らかにしました。

 200億円という投資は、大きな赤字に直面するNECにとって大胆な金額といえます。しかしそこからは、「ビッグデータ」などの新規事業にそれなりの成算をもっていることがわかります。新規ビジネスの収益化は、短期では難しいでしょうが、投資を重視し、早めに収益化の基盤を築くのは正解だと思います。(ゼンフ ミシャ)

【記事はこちら】
富士通、2011年度の業績は減収減益、海外売上高の2.3%減などが要因
NEC、最終赤字1100億円超に、今年度はクラウドを中心に戦略投資費用200億円を投下
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2012.5.9」より
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