秋が近づいて、少し涼しくなりました。ここ数か月の暑い時期は、あまり外に出る気にならず、クーラーが効いている室内に引きこもりがちだったのですが、今のように快適な天気だと、どんどん町に出かけたくなります。先週の週末、大手町を起点に丸の内や皇居、国会議事堂などを通って、霞ヶ関まで歩いてきました。東京駅周辺のエリアを中心に再開発が活発で、顔を変えつつある首都の中心部を再発見しようと考えたルートでした。
かつて、オフィス街以外に何の魅力もなかった大手町や丸の内は、最新のトレンドを取り入れたショッピング施設や飲食店、緑豊かな広場といった市民向けの空間が増えたおかげで、休日でも活気に溢れ、心地よく過ごすことができる地区に生まれ変わりました。それに対して、わずか数百mしか離れていない霞ヶ関は別世界。警視庁や外務省、財務省など、無機質な庁舎が建ち並ぶ桜田通りには人の姿がありません。ここはあくまでも官の街です。
安倍政権は、日本経済の活性化を掲げ、ITの活用に着目しています。自治体がもつデータを公開し、生活を便利にするサービスの開発に生かす「オープンデータ」や、「ITによる農業の高度化」などをキーワードに、成長が鈍っている国内IT市場に刺激を与えています。国のIT戦略を成功に導く、つまりITベンダーの事業拡大とユーザーの利便性の向上につなげるために、政府と民間企業の緊密な連係が欠かせません。町歩きで感じた「大手町」と「霞ヶ関」のギャップをどう埋めるのか――。政府だけではなく、ITベンダーの側も積極的に動くことが重要になります。(ゼンフ ミシャ)
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国のIT戦略はどこまで実現可能なのか 問われる実行力、政府CIOの腕の見せどころメールマガジン「Daily BCN Bizline 2013.9.25」より