技術進展の速いITビジネスでは、既存のビジネスに安住していると、新参のプレーヤーに足下をすくわれる可能性が高まります。
例えば、古いWindows OSのサポートが切れたとき、業務アプリケーションを新しいOSへ移行させるための改修作業は、多くのSIerにとってビジネスチャンスです。いわゆる「エンド・オブ・サポート(EOS)ビジネス」と呼ばれるもので、大規模なアプリ改修なら、数千万円から億円単位の受注になることも珍しくありません。
双日システムズは、従業員数300人余り。それほど大きなSIerではなく、マンパワーでは大手には勝てません。そこで採用したEOSビジネスへのアプローチは、人手による業務アプリの改修ではなく、アプリそのものを“仮想化”してしまうこと。仮想化したアプリは、新しいOSやクラウドへの移行が容易になります。
多くのSEを動員して手作業でアプリの改修をすれば、当然大きなビジネスになりますが、アプリ仮想化ツールを使えば、その半分以下のコストで移行できるそうです。売り上げは小さくなりますが、中小SIerが大手に対抗するこうした手法が一般化するにつれ、従来型の労働集約的なEOSビジネスは終わりを告げる――。
ITビジネスは、アーキテクチャやアルゴリズムでコストを大きく削減でき、必ずしも従業員数が多い企業でなくても、既存のビジネスを覆す可能性がある。その一例です。(安藤章司)
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双日システムズ アプリ仮想化ビジネス 事業規模5倍に手応えメールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.11.6」より