首都圏郊外に点在するかつての新興住宅地。1970年代に造成された地域に引っ越してきた人の多くは高齢者になり、「老人の街」という印象すら受けます。実は、ここがITを含むさまざまな業種業態の“実証実験”の場として注目を集めています。
例えば、足腰の弱った高齢者にとっては、食材や生活物資を駅前のスーパーに買い出しに行くより、業者がトラックに乗せて巡回販売してくれるほうが助かりますし、さらには要介護の独居老人にとっては、訪問サービスが命綱です。
団塊世代が75歳を迎え、要介護比率が増える2025年には、日本全体の高齢化率は30%を超える見通し。介護施設に入居できるのは、このうちわずかな恵まれた高齢者だけです。
高齢者向けの食材や衣服、生活雑貨、住居、金融サービスなどの商品やサービスは、自宅にいる高齢者にスムーズに届けることができるよう、ビジネスの仕組みそのものが、街全体の規模で変わっていくものとみられます。
当然、高齢者福祉費用が雪ダルマ式に増えないよう、ITを活用した効率化が一段と進むでしょう。向こう10年のこうした変化は、国内IT市場でより一段とその重みを増していくものと思われます。(安藤章司)
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曲がり角に立つ医療ITビジネス 在宅医療・介護ネットの可能性を探るメールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.11.27」より