学生のとき、「新聞、出版業界に行きたい」と先輩に話したところ、「正面からは無理だ。まずは新聞社の床掃除のアルバイトでもパシリでも、とにかく“その場”にいることから始めるべき」とのアドバイスを受けたことが記憶に残っています。

 今、日本のITベンダーの何社かは、欧州発のオープンアーキテクチャに準拠した自動車向けの次世代制御OSを、本場から5~10年遅れて開発しています。「いくらなんでも遅すぎなんじゃないですか?」と聞いたところ、「そんなことは百も承知。でもね、“その場”にいなければチャンスはない」と話していました。

 自動車がどんどんIT化しているのは周知の事実。自動運転でロボットのようになるのも現実味を帯びてきています。IT業界にとって千載一遇のチャンスであるものの、世界大手ベンダーが正面からぶつかり合う激戦区であるのも事実。

 「床掃除のアルバイト」とまではいかなくても、それに近いところに身を置きながら、わずかなチャンスでもつかみ取ろうとする姿勢は、何もせずに「自動車関連のITビジネスは将来性があるよね」と口先だけで言っているIT会社よりは、何百倍も魅力的だと、個人的には感じています。(安藤章司)

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AUTOSAR、車載ECU向け組み込みOS開発で国内二大陣営の対立が鮮明に、本格的な商用化に向けて競争が激化
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.12.10」より