<NECネクサソリューションズ>
【トップの考え】
顧客満足度を最重要指標に

NECネクサ
鈴木良隆社長 NECネクサは、09年10月1日に新体制が発足してから12年6月までの期間、森川年一前社長が指揮を執っていたが、12年6月に執行役員専務だった鈴木良隆氏が昇格し、新トップに就いた。鈴木社長は、CS(顧客満足度)の向上を最重要指標に位置づけて、(1)顧客に価値を提供する「顧客貢献価値」、(2)営業力、サービス力、SE力などを高める「顧客貢献力」、(3)顧客と接触する時間を増やす「顧客貢献時間」というオリジナルのKPI(最重要指標)をつくり、それらの向上に力を入れていく考えをもっている。
NECネクサの既存顧客には大手企業も多いが、新スタート後は新規顧客の獲得ターゲットを中堅企業に絞っている。「大手企業と中堅企業、中小企業ではそれぞれ求めるソリューションが異なる。提案内容を中堅企業に特化して、顧客満足度の向上に努めている」(鈴木社長)。鈴木社長は、全スタッフに対して「われわれがターゲットに置くのは、売上高100億~500億円の中堅企業だということを徹底して伝えている」という。
東名阪を中心に展開しているが「今後はNECに代わって、地方都市近郊での展開も視野に入れている。13年度(14年3月期)は、地方都市部まで営業担当者が足を運ぶのが難しいという実情もあるので、パートナーとともに開拓する」(鈴木社長)という戦略をとろうとしている。
【商品戦略】
日本一のソリューションを選定・強化
顧客満足度の向上を重点に置いて事業を推進するNECネクサは、鈴木社長がトップに立って以降、主力とするソリューションも変更している。09年の事業再編後は、NECのERP「EXPLANNER」を中心に拡販してきたが、今は、国内市場で自社が力をもつソリューションを選定して「ライジングゾーン」と定め、このソリューション群の販売に力を入れている。
現在、「ライジングゾーン」は、マネージドVPN(仮想私設網)サービス「Clovernet」など16個(図3)。NECネクサは、13年度に新しい中期経営計画を始めるが、そのなかで「『ライジングゾーン』を50個まで増やすことを目標にしている」(鈴木社長)。ユーザーの業種や業務で分けてメニュー化し、各セグメントのユーザー企業に適したかたちで提案する。
また、従来のオンプレミス型システムの販売から、クラウド関連のサービスの販売も強化している。「以前はそれほどでもなかったが、今はオンプレミス型からサービス型に移行するユーザー企業が中堅企業でも増えてきた」(鈴木社長)からだ。大手企業向けのサービスでは、約500人のサービスチームを抱えるが、この人員を中堅企業向けサービスにあてて、サービス型での提供に力を注ぐ。
【売り方】
営業担当者の業務を変革
「ライジングゾーン」によって、提案するソリューションを変えるのに連動して、営業スタイルも変えている。例えば、12年4月に立ち上げた「営業パートナーセンター」だ。営業事務の処理などを専門に扱う部門を設けて、営業担当者が新規顧客と接触する時間を増やすようにしたのだ。「提案活動とは直接関係のない営業事務のなかには、更新の手続きなど既存顧客との接点となる仕事が少なからずあるので、営業担当者からは『(営業パートナーセンターは)必要はない』という意見があったが、顧客と接する時間をどれだけ多く取ることができるかが大切」という考えから、スタイルを変えた。
また、以前は一部を営業が担当していた顧客とのやりとりをSEが担当するように変更している。受注までのプロセスを営業担当者に任せて、仕様の決定後は、システム開発・運用のプロであるSEが顧客をフォローする。顧客にとっては、自社で導入するソリューションに詳しいSEのほうが安心できるので、顧客満足度の向上につながる。営業担当者は、空いた時間を有効活用して、新たな顧客のもとに訪問できるという好循環を築いているわけだ。
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