富士通マーケティング(FJM)が誕生してから今年10月で3年になる。前身の富士通ビジネスシステム(FJB)は、富士通のパートナーと競合する関係だったが、一転、FJMはパートナーと協業する立場になった。発足当初はパートナーと軋轢があったものの、今年4月にトップに就いた生貝健二氏は、「パートナーとの協業は確実に進んだ」と断言する。FJMの2代目社長は、富士通グループのSMBビジネスの将来構想をどう描いているのか。
売りやすい商材と強力な営業力で販社を支援
──富士通マーケティング(FJM)が誕生してから今年10月で3年が経ちます。富士通ビジネスシステム(FJB)から社名と顧客ターゲットを変えて、富士通グループのなかでの役割も変わりました。その効果を実感していますか。 生貝 FJMは、中堅・中小規模のユーザー(SMB)を富士通パートナーと協力して獲得するする目的で生まれ変わりました。FJMの発足当初は、富士通からFJMにパートナーの支援組織が移ったことで、複数のパートナーから不安の声が出たと聞いています。ですが、現在はそんなことはありません。この3年、パートナーに対してFJMが誕生した理由と、パートナーに提供できる価値を地道に伝え、信頼を得ました。今はパートナー各社と密な連携を取ることができています。
──パートナーは、FJMのどのような点を認めたのでしょうか。 生貝 一つは、私たちの商品です。FJMは、発足時に基幹システム構築向けパッケージソフトの企画・開発を行う部隊を富士通から移管させています。これによって、SMBに適した商品を自ら開発できる力をもつことができました。とくに評価が高いのが、「GLOVIA smart きらら 販売」です。多くのパートナーから「売りやすい商材が出てきた」との声をいただいています。
それと、営業力です。私がFJMに来た時に感じたことは、FJMの営業力の強さでした。FJB時代に直販で相当鍛えられたのでしょう。富士通で長く営業畑を歩んできた私でも感心するほどです。勝ち負けを多く経験したからこそ身につけることができた強さが、FJMの営業部隊にはある。この強い営業担当者をパートナーの商談に同行させて、パートナーが案件を獲得できるように支援していることも、高い評価を受けることができている要因だと思います。
──FJMは、パートナーを後方支援して、富士通グループの製品とサービスを売る機能をもちながら、今も直販を継続していますね。そうなれば、パートナーと競合することもあるはず。その強い営業力を武器にFJMがユーザーにアプローチしていれば、パートナーが不満に思うのでは? 生貝 そうした質問をよく受けるんですけど、そんなことはありません。SMBはユーザー数が多くて、富士通グループ会社とパートナーが獲得しているSMBのユーザーを足しても、全国のSMBのうち10%にも満たないのが実態です。残りの90%は他社にやられているか、どのITベンダーも攻めきれていないというわけです。この状況を考えると、バッティングが起きる段階ではありません。
今はパートナーを含めた富士通グループ内企業の争いを気にするタイミングではなく、富士通グループが一丸となって、どのようにSMB市場を開拓するか、ライバルグループにどう対抗するかを考える時期なんです。
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