日本IBM(橋本孝之社長)が、東京都民銀行の次期情報系システム基盤「新データインフラシステム」を構築する。2010年5月から本格的な構築に入り、11年5月に稼働する予定。

 東京都民銀行は、創立60周年を迎える2011年度に向け、09年4月から3年間の中期経営計画「チャレンジ60」を策定。そのなかで11年の基幹システム更改にも取り組んでおり、今回の次期情報系システム基盤の構築はその一環。プロジェクトは、10年2月に開始し、これまで全体のスケジュールや要件を詰めてきた。

 「新データインフラシステム」は、多様化した業務データについて、顧客をキーに情報収集と一元管理ができるようにする。取引傾向などを分析してユーザー本位の金融サービスを提供したり、営業支援や収益管理などの情報を効果的に活用したりする考えだ。

 「新データインフラシステム」の特徴は、入出金や振込みなどを実行する勘定系システムや、投資信託、保険、デリバティブなどの各種金融商品取引システムなどのさまざまなシステムから今回の新システムに情報を取り込み、一元管理できること。

 さらに「顧客分析」や「収益管理」など、銀行業務に必要な機能に関し、東京都民銀行の業務要件を反映。行内の標準として利用する「論理データモデル」を構築する。標準化によって、機能の追加や改変を短期間で容易に実施できる。

 「新データインフラシステム」から情報を出力する部分では、情報の所在や意味を定義した「データ辞書」を提供。例えば「残高」という用語に、資金化されていない小切手を含むか含まないか、「住宅ローン」という用語に、住宅取得を目的とした汎用型ローンを含むか含まないかなど、一つの用語で異なる解釈ができる場合、データ辞書で用語の意味や、業務とデータの関係を定義することで、すべての利用者が同じ基準で情報を扱うことができる。

 「新データインフラシステム」には、IBMのUNIXサーバー「IBM Power System 550」やストレージ「IBM System Storage DS5100」、データベース管理ソフト「IBM DB2 V9.7」、webアプリケーション基盤「IBM WebSphere Application Server V7」などに加え、アジアパシフィックシステム総研の情報系基盤ソリューション「entrance Banking」を採用。IBM独自の仮想化技術を活用し複数の論理区画を設定することで、複数の本番業務とそのバックアップ・開発環境を、2台の物理的なサーバーに集約している。

 かつては預貸金や為替が業務の中心で、勘定系のデータを編集加工すれば有用な情報を得られていたが、昨今の情報系システムでは、投資信託や保険、デリバティブなど業務の多様化でデータの種類が増加。データの利用者自身で、情報を整理・統合する必要があったという。

「新データインフラシステム」の概念図」