日立製作所は、人間の動作を模倣し、繊細な作業を行えるフィジカルAI技術を開発したと3月23日に発表した。ロボットを動かす汎用的な視覚言語モデル(VLA)は数十~数百億パラメーターの規模であるのに対して、「数百万パラメーターで動作できるようにした」(山田弘幸・ロボティクス研究部ユニットリーダー主任研究員)。小型モデルにすることで学習や推論にかかる時間を短縮でき、消費電力を抑えることが可能になるという。
山田弘幸・主任研究員
人間がロボットに教えた動作を、ロボット自身が模倣する過程で、関節の動かし方や力の入れ具合の最適化を自律的に学習する。力の入れ具合については、視覚や圧力センサーを駆使することで調整できるようにした。これにより、例えば「ワイヤーハーネスのような軟らかい部品を取り付ける繊細な作業をロボットに任せることもできるようになる」(同)とし、従来は自動化が難しかった領域での応用が可能だとした。
日立製作所が試作したフィジカルAIロボット
力の入れ具合に関しては、毎秒100回の速度でAIが細かな指示を出せるようにした。これは人間の脊髄反射の速度に近い頻度であり、「人間と同等の速度と精度で複雑な作業を実現するものだ」(同)という。他にも、作業しやすい場所や姿勢を学習し、「作業内容に応じて移動したり、作業姿勢を変えたりすることもできる」(同)としている。
吉田順・本部長
日立製作所では、産業用ロボットや倉庫用搬送ロボットなどに最新のフィジカルAIを応用したソリューションを体験できる「フィジカルAI体験スタジオ」を4月1日、都内の「Lumada Innovation Hub Tokyo」内に開設する。日立製作所が試作したフィジカルAIロボットも常設展示する予定だ。吉田順・AI CoE HMAX&AI推進センター本部長は「ユーザー企業を一歩先に導くことを目的にしている」とし、初年度はフィジカルAI体験スタジオをきっかけとした先進事例を数十件規模で創出する目標を掲げている。(安藤章司)