企業の内部と外部のアイデアを組み合わせて、革新的な事業やサービスを生み出す「オープンイノベーション」が浸透するか否かは、これからのIT市場のポテンシャルを大きく左右する重要な課題だ。新戦略では、「オープンイノベーション」推進の担い手として、ITベンチャーを含む中小企業に焦点を当てて、起業支援策や国際的な競争力の強化策も打ち出している。
ヒトとカネの両面でITベンチャー支援
まず、ITベンチャー支援策としては、サービス・機器開発から事業の立ち上がりまで支援するプラットフォームを総務省が整備する。具体的には、事業計画の策定やマーケティングなど、経営面のアドバイスを行うメンター制度や、ITの専門家の人材バンクを新たに構築する。
さらに、IT市場のなかから、グローバル市場で展開すべき先端技術・事業を選定し、英語での宣伝材料開発や広報の支援を行うほか、海外のベンチャーキャピタルを招聘して、国内のITイノベーターとのマッチングなども図る。これらは経済産業省の担当だ。また、総務省と経産省が連携し、モデル事例を発掘する表彰制度も設ける。
一方、金融庁は、クラウドファンディング(インターネットを活用して多数の小口投資を募る手法)などの新しい資金調達手法の利用を促進し、リスクマネー供給の仲介機能強化に取り組む。(本多和幸)