〈企業概要〉
スイスを創業地とするNexthink(ネクストシンク)は2004年の設立。DEX(デジタル従業員体験)プラットフォーム「Nexthink Infinity」を提供。世界で1500社以上が導入している。日本法人は25年設立。
スイスと米国に本社を置くNexthink(ネクストシンク)は、組織デバイスから1300種類のデータを集め、従業員のIT体験を改善するDEX(Digital Employee Experience)ツールでグローバルリーダーポジションにある。2025年に参入した日本市場でも幅広いユースケースをてこに浸透を図っている。SIerやコンサルティングファーム、ディストリビューターといったパートナーには、導入前の効果検証から運用高度化まで担ってもらうことで、導入成果を共に創出する構えだ。
(取材・文/春菜孝明)
1300種類の情報生かす
DEX管理は、業務用PCのフリーズやWeb会議の音声途切れ、アプリケーションの動作遅延など、従業員本人しか気付きにくいデジタル環境の問題を把握、改善し、デジタル体験の満足度向上を目指す概念。ネクストシンクはグローバル1500社以上への導入実績があり、米Gartner(ガートナー)の「Magic Quadrant」でリーダーポジションに位置する。
梅園恭司 セールスディレクター
DEXプラットフォーム「Nexthink Infinity」は、従業員のデバイスから1300種類のリアルタイムデータを集約し、ユーザー体験に問題があれば原因を分析。設定変更などの対応を自動実行する。対応ワークフローはユースケースを多数蓄積しており、管理者はライブラリーからダウンロード、カスタマイズが可能だ。ユーザーデータを匿名化した上で同社が収集することで、ソフトウェアがどのような環境下で安定稼働するかといった横断的な傾向を把握し、改善アクションの精度を上げている。
日本法人の梅園恭司・セールスディレクターは、こうした可視化、診断、解決を循環させ、従業員がIT上の問題を意識せずに仕事を続けられる「ゼロフリクション(摩擦)」を実現すると意気込む。その過程として、問い合わせを受けて対応する段階から、問題が起きないように先回りする予防的取り組みへの成熟を掲げる。
同社ではNexthink Infinityの主な活用領域を「サービスマネジメント」「戦略」「資産管理」「変革/トランスフォーメーション」「コンプライアンス」「サスティナビリティ」の六つのカテゴリーに分類している。サービスマネジメントであれば問い合わせの削減や迅速な問題解決、資産管理では未使用ライセンスの削減や端末利用の長期化などに貢献する。管理者側、従業員側はそれぞれアシスタントAI機能を利用し、管理業務の効率化や問題の自己解決につなげられる。
パートナー10社以上に
メインターゲットはエンドポイント端末が5000台以上の企業だ。グローバルでは、金融、保険、製薬、コンサルティング、電力、サービス、IT・情報通信の各業界について、導入効果が得やすいとみて重点的に開拓している。こうした顧客像が日本市場にも当てはまるかどうか、顧客との対話を通じて見極めている。
実際の導入には2カ月をかけて、環境設定や最初のユースケースを構築する。ただ、顧客だけで継続的に活用範囲を広げるのは難しく、十分に使われなければ契約更新に至らない可能性もある。そこで、導入後も蓄積したデータの分析や新たなユースケースの提案、ワークフローの構築などを支援し、ライセンス契約の終了まで伴走する仕組みを整えている。
さらに、導入前の効果検証(PoV、Proof of Value)にも力を入れている。一部組織にNexthink Infinityを入れ、本番導入の判断材料にする取り組みだ。
25年6月の日本参入以降、導入パートナーは10社以上を数えている。この広がりは「想定以上だ」(梅園ディレクター)と手応えを口にする。自社のマネージドサービスにDEXツールを組み込むMSPパートナーや、ライセンス再販のリセラーパートナーが増えている。大企業に加え、端末5000台未満の企業へのデリバリーでもパートナーが重要なチャネルになっている。
パートナーに期待する役割について、梅園ディレクターは顧客の課題理解を挙げる。ユーザーとの対話を通じて現場の困りごとを具体化できれば、適切な機能の提案が可能となり、導入効果を感じてもらえるからだ。パートナーにはPoVや導入支援、運用高度化を任せ、同社は顧客が活用範囲を継続的に広げられる体制を整える方針だ。
同社は、日本では労働力人口の減少に伴い、生産性向上が重要課題になると捉えている。一方でDEXは比較的新しい概念であることから、梅園ディレクターは、デジタル環境が従業員の生産性や離職に影響するという認識が十分に浸透していないと指摘。今後はパートナーと導入事例を積み重ね、企業の理解を促しながらDEX市場を形成する方針で、国内でもリーダーの地位を確立すると強調している。