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NECとレノボの合弁、不可解!

2011/01/31 15:26

 NECと中国のレノボが、パソコン事業で合弁会社の設立を発表しました。しかし、会見を聞いても発表資料をみても、どうもしっくりこない部分があります。

 レノボは米IBMのパソコン事業を買収するというかたちで、「ThinkPad」ブランドを手に入れました。日立製作所は、パソコン事業をやめ、ヒューレット・パッカード(HP)のOEMで、パソコン販売を継続しています。米IBMは、粗利が低い事業に見切りをつけ、日立は他社の生産でコストを削減し、販売を継続する決断をしました。

 NECとレノボの場合は、両社のパソコン・ブランドを残したまま、両社で生産を行うということです。今回の合併は、部材調達を共通化してコストを削減するという目的はあるにしても、相互の販売網を利用して、両社にとっての「ブルーオーシャン」に進出すること以外、理由が見当たりません。

 NECは、国内に確固たる販路が確立されているだけに、販社の顔色をうかがい、合併や買収などになかなか踏み切れなかったのでしょう。NECとレノボのパソコンの“中身”が同じになれば、「NECの素晴らしいパソコンを売っている」という販社のモチベーションはどうなったでしょう。

 むしろ事業を売却し、レノボ製品を売るなかで、ソリューション販売に事業を傾け、粗利を稼いだほうがよかったのではないかと感じました。(谷畑良胤)

【記事はこちら】
NECとレノボが新会社設立会見、「NEC以外に考えられなかった」とレノボ
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2011.1.31」より
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