いまの日中関係は、終わりが見えない政治摩擦で冷え込んでいて、正直いって、日系企業の中国ビジネスは、順風満帆とはいい難い状況にあります。
つい先日、中国出身の日系SIer若手幹部が、わたしにこう言いました。「まだこれからじゃないか」。彼は「未来はまだずっと先まで続くんですよ。何をそんなに焦っているのですか」と、鷹揚に構えています。
そこで、ハッと気づきました。確かに、日系SIerが中国を「市場」とみて売り込みを本格化したのは、正直いってリーマンショック以後のここ5年のこと。過去20年を振り返れば、日系企業は中国を「工場」として活用し、大きな成功を収めてきました。隣国同士、利害がぶつかり合うなかで、服や日用品から電子機器に至るまで、身の回りにある日本メーカーの商品から中国製以外のものをみつけるのが難しいほどです。
情報サービス業も、海外オフショアソフト開発の約8割を中国に依存しています。立ち上げ当初の5年は苦労しましたが、その後は相当な利益が出ていたはず。中国を「市場」とみて再進出してから20年をひと区切りと考えるなら、残り15年をどうするのかは、わたしたち情報サービス業界の努力と熱意にかかっているのではないでしょうか。
(安藤章司)
【中国大特集の記事はこちら】
<第2部 中国+ASEAN大特集>陽はアジアに昇る 中国・ASEANに挑む日本のITベンダーメールマガジン「Daily BCN Bizline 2013.8.8」より