NTTデータは、2016年3月期までの4か年中期経営計画で、海外売上高3500億円を目指す。2012年3月期実績の2083億円におよそ1400億円上乗せするというものだ。直近の海外売り上げの構成比は、おおむね米州が5割、EMEA（欧州・中東・アフリカ地域）が4割、中国およびアジア・太平洋地域が1割だ。伸び幅が大きいのはアジア地域ではあるものの、売り上げの多くは欧米市場が占めている。

　グローバル事業を担当する西畑一宏常務は、「少なくとも今の中期経営計画中は、欧米市場が売上拡大の原動力という構図に大きな変化はない」とみている。ましてや具体的に1400億円もの上乗せとなると、これまで通り欧米市場におけるM＆A（合併と買収）が主軸になる可能性が高いと予測している。

　欧米地域が短期的な売上拡大のターゲットだとすれば、アジア地域は長期的な伸びを見越した施策が中心になる。例えば、アジア地域での長期的な成長に向けた拠点整備やオフショアソフト開発の高度化などがそれにあたる。

　同社の岩本敏男社長は、「ソフトウェア生産の技術革新」を中期経営計画の柱の一つに位置づけており、オフショア開発のあり方が変わってくることも考えられる。労働集約型のオフショアと資本集約型によるソフト開発の自動化は、相容れない方向性でもあることから、アジア地域に多い開発拠点のあり方も、今後の海外ビジネスにおける重要課題となりそうだ。（安藤章司）