Special Feature
運行管理から事故削減へ価値を広げる AIテレマティクス市場
2025/11/03 09:00
週刊BCN 2025年11月03日vol.2081掲載
(取材・文/堀 茜、日高 彰、南雲亮平)

NTTドコモビジネス
車両管理と安全支援を統合型で白ナンバー車両向けに拡販
NTTドコモビジネスは、車両管理サービス「LINKEETH DRIVE」を2023年から提供している。それ以前も20年以上にわたりテレマティクスサービスを提供してきたが、AIによって機能をアップデートした。安全運転管理、動態管理に加えて、アルコールチェックサービスも加えた一体型のサービスで、企業のモビリティーDXを支える基盤として展開している。LINKEETH DRIVEは、同社のモビリティーデータプラットフォーム「MAXIV」の上に構築している。車両から位置データ、映像データなどを取得し、リアルタイムで分析したり、連携したりすることが可能で、企業の業務効率化と安全性の両面を支援する。AI搭載通信型ドライブレコーダーから取得する走行データを活用し、危険運転検知、運転診断・ヒヤリハット通知、車両位置・走行履歴の可視化などの多彩な機能を提供している。顧客からは、さまざまな映像データを取得したいというニーズが大きい。このため、走行中のリアルタイムデータだけでなく、過去の走行データもドライブレコーダーから取得できるようにしている。場所と時間の両方を指定して、トラブルがあった際にピンポイントで確認できる機能が好評を得ているという。
事故の発生を減らすために、ドライバーの運転技能向上に役立てる機能も評価が高い。警察庁の統計によると、事故の約8割は“ながら運転”などの安全運転義務違反が原因になっている。同社では、事故削減には運転技能と運転者の意識の向上が不可欠との考えから、ドライバーモニタリングシステム(DMS)や先進運転支援システム(ADAS)を活用したドライバーの安全運転義務違反の未然防止を図っている。管理者だけでなく、ドライバー向けにも利便性を向上できる機能を提供。スマートフォン用のアプリケーションから、ドライバーの走行データや運転診断結果の確認、日報登録が可能で、必要な情報を追加登録するだけで日報を作成できるようになっている。
山川貴弘 主査
法人向けテレマティクス市場について、同社プラットフォームサービス本部5G&IoT部第二サービス部門の山川貴弘・主査は、「新規参入が増え競争が激化している一方で、サービスの選択肢が広がり、市場は拡大している」との見方を示す。その中で自社製品の優位性については、▽統合型モビリティー管理サービスとしての完成度の高さ▽多彩な車両に対応可能▽管理者とドライバーの一体運用―の3点を挙げた。中でも対応車両の多さについては、トラックや乗用車だけでなく、自動二輪車、電車にも取り付け可能で、いくつかの鉄道会社に導入されている。
メインターゲットとしている販売先は、法人向け白ナンバー車両だ。業種は問わず、企業の営業車両などに幅広く導入されている。タクシーや物流業者など緑ナンバーの車両は法的規制が多く、車両の運行データを記録するデジタルタコグラフが搭載されているケースも多いため、白ナンバー向けに拡販している。長距離の移動がある車両での採用が多い。また、建設現場などで、作業中の映像を確認し、正しく作業ができているか確認したい工事車両に取り付けるケースもあるという。
有田好孝 部長
販売は、直販と代理店経由が半々程度。間接販売ではサービスの再販が多いが、代理店によっては顧客の要望に応じて自社の製品をセットで提案するケースもある。同部販売推進部門の有田好孝・担当部長は、「当社は全国に営業担当がいる。地域や業種に偏りなく必要なお客様に製品を届けていきたい」と展望する。テレマティクス製品はAIによる機能向上が進んでおり、山川主査は「AIの活用を一層進め、安全運転支援や業務効率化に貢献していきたい」としている。
- NEC 運転傾向に応じた安全指導文をドラレコ映像から自動生成
- Dynabook ノートPCの技術を応用し運行管理市場に本格参入
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