Special Feature
大手電機3社の上期決算 成長基調踏まえて次のアクションへ
2025/11/17 09:00
週刊BCN 2025年11月17日vol.2082掲載
(取材・文/南雲亮平、春菜孝明、堀 茜)

富士通
調整後営業益が過去最高 Uvanceがさらに拡大
富士通は、売上収益が前年同期比0.9%増の1兆5665億円とほぼ横ばいだったが、調整後営業利益は83.6%増の1213億円を記録し、上期の調整後営業利益としては過去最高を更新した。当期純利益は、富士通ゼネラルと新光電気工業の売却により2263億円増の2620億円と、大幅な増益となった。中期経営計画の最終年度となる25年度は通期で営業利益は過去最高の3600億円、営業利益率10%超えを目指している。磯部武司・副社長CFOは、「上期は順調に推移した」と述べた。通期の予想は修正しない。
磯部武司 副社長CFO
好業績をけん引したのは、主力のサービスソリューション事業。売上収益は4.8%増の1兆665億円、前年度の事業再編などの影響を除く実質ベースでは6.4%増となる。調整後営業利益は309億円増の1196億円で、利益率は11.2%と前年から2.5ポイント上積みした。国内ビジネスは、DXやモダナイゼーションに対する需要の継続的な拡大により、8.9%の増収。利益面では、開発プロセスの標準化・自動化などによる採算性改善によって、調整後営業利益ベースで212億円のプラス効果となった。
同セグメントで成長戦略の柱に位置付けられている、オファリングを中核とする事業モデル「Fujitsu Uvance」は、売上収益が55%増の3110億円だった。内訳としては、ITインフラや業務アプリケーションなどのテクノロジー基盤で構成される「Horizontal」が37%増の1883億円、社会課題の解決に主眼を置くクロスインダストリー4分野の「Vertical」が94%増の1226億円と大きく伸長した。同セグメントに占める売上構成比は、前年の20%から29%に拡大。磯部副社長は、年間売上目標7000億円に向けて「順調なラインに乗っている」との見方を示した。
モダナイゼーション事業の受注高は3%増の1541億円となった。磯部副社長は、「パブリック系の大型商談獲得があった昨年の反動で伸長は弱く見えるが、実態は昨年の高い水準をさらに上回る商談の獲得ができている」と説明。計画通りに拡大しているという。
このほかのセグメントでは、ハードウェアソリューションの売上収益が7%減の4248億円、調整後営業利益が94億円増の125億円だった。アジアで小規模・低採算事業を縮小したことで減収となったが、24年に立ち上げたエフサステクノロジーズの製販一体体制による事業効率向上が効果を上げており、増益となった。ユビキタスソリューションの売上収益は4.2%増の1131億円、調整後営業利益は103億円増の217億円、調整後営業利益率は8.7ポイント増の19.2%。「Windows 10」のサポート終了に伴うPC切り替え需要の継続が主な要因となる。
現行の中期計画が最終年度を迎えるにあたって、磯部副社長は、「サービスソリューションを中心とした連結全体の利益拡大と、採算性の改善に引き続き取り組み、中期経営計画の達成はもちろん、その先の持続的な企業価値向上につなげていく」と展望した。
また、Uvanceの主力領域の一つであるData&AI領域の強化に向け、データサイエンスやデジタルマーケティング領域に強みを持つブレインパッドと経営統合契約を結んだと発表した。公開買付け(TOB)により完全子会社化する。統合により、国内Data&AI市場におけるリーダーポジションの迅速な確保を目指す。

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