中国科学院ソフトウエア研究所 （中科院）との共同研究センターをこの4月に立ち上げたNTTデータは、中科院との協業をきっかけとして、社会インフラに深く関わる領域でビジネスを伸ばしていきたいと考えている。これまでも交通管理モニタリングやソーシャルメディアなどの分野で中科院との共同研究を粘り強く続けてきた経緯があって、共同研究センターの開設によって関係をより密にしていく。

社会インフラ領域を視野に

　NTTデータは、橋梁監視「BRIMOS（ブリモス）」や、交通観測「UCaST（ユーキャスト）」、ソーシャルメディア解析に役立つ「なずき」などをベースに、中国市場に向けた社会インフラ系の商材販売に取り組んできた。だが、中国の公共領域に日系企業などの“外資系”企業が食い込むのは容易ではない。「作業現場の地図1枚入手するのも規制の壁に阻まれるほど」（ITベンダー幹部）といわれるほどハードルが高い。

　中科院との共同研究を担当するNTTデータの米森力・技術開発本部サービスイノベーションセンタシニア・エキスパートは、「中科院のメンバーと同じ釜の飯を食うところから始めている」と、相互理解から生まれる信頼関係を重視。中科院との共同研究を通じて、中国市場に受け入れられるかたちで手直しを加えるなど、中長期的視野に立って中国市場と向き合っている。（安藤章司）