ネットワークカメラは、高画質化に加えてAI機能の搭載といった進化を遂げており、クラウドや業務システムなどとの連携により用途が拡大したことで、導入企業が増加している。キヤノン傘下のスウェーデンAxis Communications(アクシスコミュニケーションズ)は、幅広い製品ポートフォリオを生かし顧客のニーズに応えることで、市場での存在感を示している。シミュレーションツールの提供や、ソリューションを体験できる「アクシスエクスペリエンスセンター」などの施策を通じてパートナービジネスを強化し、さらなる拡販を目指す。(岩田晃久)
幅広い製品ポートフォリオでニーズに対応
アクシスコミュニケーションズは、ドーム型やボックス型、サーマルカメラなど幅広い種類のネットワークカメラを提供する。独自開発のASIC(半導体チップ)により、高画質化を実現しているのに加えて、高度な画像分析などを可能にしている。加えて、ネットワークカメラ以外にもネットワークスピーカーをはじめとした音声ソリューションなど幅広い製品ポートフォリオを展開。複数のデバイスを一元的に管理することも可能だ。幅広い製品を用意することで、顧客のさまざまなニーズに対応できるとする。
国内では主要ディストリビューターと契約を結び、全国をカバーする販路を構築。セキュリティー商材を扱う販売店を筆頭に、SIer、保守サービスを手掛ける企業などを通じた販売実績が豊富だという。また、アクシスコミュニケーションズの製品と自社の製品を組み合わせた提案を行う「Axisテクノロジーインテグレーションパートナー」経由での販売にも注力している。
営業を効率化するシミュレーションツール
パートナー向けの提案支援ツールとして「AXIS Site Designer」を用意する。カメラを設置したい施設の地図をデジタル空間に取り込み、設置した際のシミュレーションが可能となる。さまざまなカメラの画像比較や、AI機能がどこまで使えるか、データ量などの確認が容易になるため、同社日本法人エンタープライズ営業本部の岡本秀一・本部長は「意思決定や設置作業にかかる時間を短縮でき、営業プロセスの効率化につながる」と説明する。直感的に利用できる仕様になっているのに加えて、パートナー向けに使い方のトレーニングを行っている。
岡本秀一 本部長
“体験”から得られる気付き
製品を実際に体験し、テストすることができるアクシスエクスペリエンスセンターを東京と大阪に設けている。岡本本部長は「われわれのビジネスにおいて、体験していただくことを重要視している。エクスペリエンスセンターで製品を手に取って使ってもらうことで、気付きを感じていただけるケースが多い」と話す。25年は1000人以上が同センターを利用した。パートナーとユーザーが一緒に訪れるケースも増えている。
東京、大阪以外にも福岡や名古屋、広島などで展示会を実施し、地場のパートナーとの関係強化を図っている。イベントには多くのパートナーや顧客が参加し、好評を得ているという。
そのほかにも、パートナー向けのトレーニングやeラーニングのコースの拡充や、個別トレーニングの提供を通じて、スキルの向上をサポートするなど、パートナーへの支援体制を強化している。
各業界特有のニーズを深掘り
ネットワークカメラ市場について岡本本部長は「まず、製品が進化している。加えて、ネットワークやクラウド、API、さらにAIなど周辺テクノロジーが飛躍的に進展しており、組み合わせることでさまざまなアウトプットが出せるようになった。お客様のニーズも、従来は不審者を監視するための防犯がメインだったが、最近は例えば“カスハラ”対策など、従業員をはじめ何かを見守るために(ネットワークカメラを)利用するなど変化している。こうした要因から、市場の注目は高まっている」と分析する。
需要が拡大する中での戦略の一つとして、各業界の特性に合わせた販売を進めていく考えだ。「製造やヘルスケア、小売、自治体など、業界ごとに特有のビジネス動向やセキュリティー課題がある。こうした部分をパートナーと共に掘り下げていきたい」(岡本本部長)。また、映像や音声などの非構造化データと構造化データを組み合わせた分析を行うことで新たなインサイトを得られる、といった切り口での提案を推進する。
防犯カメラ製品の場合、導入してから長期間利用されるケースが多いとする。「かなり前に導入したというお客様には、一度、現在の製品を見てほしいし、パートナーにはその働きかけをし、新しい価値を訴求してもらいたい」(岡本本部長)と力を込める。
今後の展望について岡本本部長は「日本は人手不足が大きな課題となっている。その中で、パートナーと共創し映像ソリューションを通じて、安全かつ効率的に働ける環境をつくることに貢献していきたい」話す。