産業の「振興」と「規制」は、クルマのアクセルとブレーキのようなもの。情報サービス業界でいえば、所管官庁が経済産業省系のIT団体・企業と、総務省系のIT団体・企業とで、微妙に話が噛み合わないのは、こうした背景があるからなのかも知れません。
誤解を恐れずにいえば、前者は「振興」、後者は「規制」の色合いが濃い印象があります。実は、中国の情報サービス業界にも、日本でいうところの経産省系と総務省系の2系統があるそうです。
情報サービスはコンピュータと通信の融合体ですから、やむを得ない部分はあるものの、少なくとも中国は日本に負けず劣らずの“規制大国”。政策という名の「規制」色が濃い部分がありました。日中の政治摩擦が続くなかで、政策誘導というかたちで、日系IT企業のビジネスに市場原理とは別の影響を与え続けているようにみえます。
ただ、ここ1年ほどで、日本でいうところの経産省系のIT団体の活動が目立つようになりました。「振興」に重点を置いて、政治は政治、ビジネスはビジネスと、切り分けた動きが活発になっています。経済の発展によって、ビジネスライクな民間企業が力を増してきていることを象徴しているかのようです。(安藤章司)
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中国の対日オフショアソフト開発 「対国外から対国内へ」が鮮明にメールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.4.3」より